OECD平均賃金
賃金の水準や上昇率の国際比較は難しい。何のために比較するのかによってとるべき手法も変わる。
もっとも単純な方法は、自国通貨建て、名目値の賃金をもとに考えることだ。この方法だと上昇率の比較は可能だが、水準の比較はできない。
賃金が生活のために使われるということを考えて、労働者の生活の水準、変化を捉えるなら、消費者物価指数で除して実質化することによって水準、変化を捉えることができる。
さらに、購買力平価で例えばアメリカドルに換算すると、国際比較が可能になる。
OECD.statのデータベースでは、"Average annual wages" としてこの三つが提供されている。https://stats.oecd.org/viewhtml.aspx?datasetcode=AV_AN_WAGE&lang=en
そして、消費財の国賠力平価を用いてアメリカドルに換算したものが、"Average Wages"として使われている。かなり手の込んだ加工をしていて、平均賃金の購買力をある一時点での国と国でも、時系列的にも比較できるようにできるようにしている。
次のような手順で求められている。
まず自国通貨建ての国民経済計算の雇用者報酬のうち、賃金・俸給(使用者の社会保険の負担は除かれている。)を労働者数で割る。これによって一人当たり平均賃金が求められる。賃金の調査自体から計算されているわけではない。
このままだと、短時間労働者も含まれるので、短時間労働者の多い国の賃金が低くなり、同じ国でもその割合の変化に応じて賃金が変わってしまう。フルタイム労働者の平均労働時間を労働者全体の平均労働時間で割ったものを掛けて補正する。これによってフルタイム働いた場合の賃金が得られる。フルタイム労働者の平均労働時間は、同じ年でも国により異なるし、同じ国でも年によって異なるので、これらは補正されないことに注意が必要だ。
ここで得られる賃金は、それぞれの国の通貨建ての名目賃金である。まず、国際比較するために、為替レートを用いてアメリカドル建てに換算する。この時消費財の購買力平価を用いるので、この調整の結果得られるのは、消費財の購買力で測った名目値である。
これを実質値に変えるために、アメリカドルの実質値に換算する。最新のものは2019年を基準としている。
かなり無理があるようにも感じるが、これぐらいはやむを得ないだろう。完璧な比較をするには賃金や、消費財価格のすべてを元データから揃えなければならない。
次の表は、G7の2000年、2019年の平均賃金、単純な自国通貨建て名目賃金で比較したときの2000年から2019年の上昇率、OECDの平均賃金の同じ期間の上昇率を示したものである。
アメリカ合衆国 54,642 65,836 169.0 120.5
連合王国 39,232 47,226 166.2 120.4
カナダ 44,178 53,198 159.1 120.4
フランス 38,278 46,481 152.7 121.4
ドイツ 45,310 53,638 151.4 118.4
イタリア 38,009 39,189 141.2 103.1
日本 38,050 38,617 95.1 101.5
OECDの平均賃金の上昇率では、イタリアと日本を除き120程度で大きな差はない。イタリアと日本はほぼ同じだが、日本が一番低いというのはどちらの基準でも同じだ。
なお、OECDの平均賃金で比較すると、2010年にはアメリカの70%だった日本の賃金は2019年には59%に下がっている。こういうことは理解しておくべきだろう。また、2000年でも日本の平均賃金は第6位だったが、2019年には第7位になっている。
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13時間
これを実質値に変えるために、2016年のアメリカドルの実質値に換算する。かなり無理があるようにも感じるが、これぐらいはやむを得ないだろう。完璧な比較をするには賃金や、消費財価格のすべてを元データから揃えなければならない。(終わり)
もっとも単純な方法は、自国通貨建て、名目値の賃金をもとに考えることだ。この方法だと上昇率の比較は可能だが、水準の比較はできない。
賃金が生活のために使われるということを考えて、労働者の生活の水準、変化を捉えるなら、消費者物価指数で除して実質化することによって水準、変化を捉えることができる。
さらに、購買力平価で例えばアメリカドルに換算すると、国際比較が可能になる。
OECD.statのデータベースでは、"Average annual wages" としてこの三つが提供されている。https://stats.oecd.org/viewhtml.aspx?datasetcode=AV_AN_WAGE&lang=en
そして、消費財の国賠力平価を用いてアメリカドルに換算したものが、"Average Wages"として使われている。かなり手の込んだ加工をしていて、平均賃金の購買力をある一時点での国と国でも、時系列的にも比較できるようにできるようにしている。
次のような手順で求められている。
まず自国通貨建ての国民経済計算の雇用者報酬のうち、賃金・俸給(使用者の社会保険の負担は除かれている。)を労働者数で割る。これによって一人当たり平均賃金が求められる。賃金の調査自体から計算されているわけではない。
このままだと、短時間労働者も含まれるので、短時間労働者の多い国の賃金が低くなり、同じ国でもその割合の変化に応じて賃金が変わってしまう。フルタイム労働者の平均労働時間を労働者全体の平均労働時間で割ったものを掛けて補正する。これによってフルタイム働いた場合の賃金が得られる。フルタイム労働者の平均労働時間は、同じ年でも国により異なるし、同じ国でも年によって異なるので、これらは補正されないことに注意が必要だ。
ここで得られる賃金は、それぞれの国の通貨建ての名目賃金である。まず、国際比較するために、為替レートを用いてアメリカドル建てに換算する。この時消費財の購買力平価を用いるので、この調整の結果得られるのは、消費財の購買力で測った名目値である。
これを実質値に変えるために、アメリカドルの実質値に換算する。最新のものは2019年を基準としている。
かなり無理があるようにも感じるが、これぐらいはやむを得ないだろう。完璧な比較をするには賃金や、消費財価格のすべてを元データから揃えなければならない。
次の表は、G7の2000年、2019年の平均賃金、単純な自国通貨建て名目賃金で比較したときの2000年から2019年の上昇率、OECDの平均賃金の同じ期間の上昇率を示したものである。
アメリカ合衆国 54,642 65,836 169.0 120.5
連合王国 39,232 47,226 166.2 120.4
カナダ 44,178 53,198 159.1 120.4
フランス 38,278 46,481 152.7 121.4
ドイツ 45,310 53,638 151.4 118.4
イタリア 38,009 39,189 141.2 103.1
日本 38,050 38,617 95.1 101.5
OECDの平均賃金の上昇率では、イタリアと日本を除き120程度で大きな差はない。イタリアと日本はほぼ同じだが、日本が一番低いというのはどちらの基準でも同じだ。
なお、OECDの平均賃金で比較すると、2010年にはアメリカの70%だった日本の賃金は2019年には59%に下がっている。こういうことは理解しておくべきだろう。また、2000年でも日本の平均賃金は第6位だったが、2019年には第7位になっている。
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これを実質値に変えるために、2016年のアメリカドルの実質値に換算する。かなり無理があるようにも感じるが、これぐらいはやむを得ないだろう。完璧な比較をするには賃金や、消費財価格のすべてを元データから揃えなければならない。(終わり)